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「喫茶店の良さは、たった一日や一回じゃ分からないよね」。

葡萄畑

juma cafe

「まるで外国のカフェみたい」なんてありきたりな感想だけど、本当にそう感じたのだから仕方ない。その感覚はお店全体の空気感や存在感から滲み出ているものであって、エスプレッソを淹れているマシュウさんが外国の方だからでも、おしゃれな空間にアンビエント・ミュージックが流れているからでもない。もっと深く、自分の感覚に訴えるもの。そう感じた訳を知りたくて、マシュウさんと一緒に2人でお店を営む山川純子さんにお話を伺った。
「もともと15年近く、2人でオーストラリアのシドニーで暮らしていました。私はエステ、彼はグリーンデザイン、それぞれ自分の仕事を持っていて。日本に戻ってきたきっかけは、長崎で暮らす私の両親のそばにいたかったから。それで日本に移住するとなって、2人で新しくお店を開くことに決めました」。カフェどころか飲食店も未経験の2人だが、自分たちが好きなもの、心地よい場所や生き方を選ぶ中で、自然とカフェにたどり着いたそう。「シドニーにはたくさんカフェがあって、休日だけではなく仕事終わりや休憩中に、みんな日常的に足を運んでいるんです。生活の一部として溶け込んでいるというか。私たちもずっとカフェが大好きでよく通っていたので、その時のイメージをもとにしながら、自分たちが通いたくなるお店を目指しました」。決して大きくはないスペースながら、白を基調とした空間にマシュウさんお手製のグリーンが映える。大きな窓からは自然光が入り、シンプルながらぬくもりのあるカフェとなった。もちろんコーヒーも、シドニーで慣れ親しんだ味を追求。「おいしいエスプレッソを気軽に楽しんで、その文化にふれてほしい」と、マシンやコーヒー豆にも手を抜かず、抽出方などを工夫することで存在感のある深いエスプレッソを提供する。
オーストラリアから日本に生活の拠点を移した2人だが、特に仕事との向き合い方ではギャップを感じることもあるそう。「うちのお店は18時までなんですけど、時間ピッタリに閉店します。でも日本で働く人は残業が当たり前だったり、お休みがなかなか取れなかったりしますよね。私たちはシドニーでもそうだったように、仕事だけではなく自分たちの時間も大切にしたいと思って、お店をしています」。肩肘張らずに、自分のお家に招き入れるように。ケースに並べられたキッシュやケーキは山川さんの手作りで、ランチに使用している野菜はマシュウさんが自らの畑で育てた無農薬野菜。2人で力を合わせて、文字通り自然体でお店を営んでいるからこそ、訪れた人もゆっくりと羽を休めることができる。難しいことを考えず、エスプレッソ一杯で誰もが自分の時間を取り戻せる場所。そんなカフェ本来の魅力に気づかせてくれたのは、マシュウさんと山川さんの日々の生活の積み重ねの上にこのお店があるからだと、話を聞いて腑に落ちた。

Editing Data

・基本情報

長崎市平和町10-6

095-865-7211

・取材メモ

取材日…11/26(月)

天候…曇り

取材時間…70分

来店回数…4回

頑固に黙々と、己の道を突き進む。うつわ職人ときいてイメージするのは、

宝寿窯

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