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この前レンタルしたスパイ映画に出てきた「Manners Maketh Man」と

セトレ グラバーズハウス 長崎

宝寿窯山本文雅さん

頑固に黙々と、己の道を突き進む。うつわ職人ときいてイメージするのは、不器用で愚直な人柄。しかし山本文雅さんに、そんな気負いや近寄りづらさは全くない。「壁にぶつかったとして、僕はそれを押すんじゃなくて、いろんな方向から見るタイプなんです」。柔軟で新しい発想から生まれるのは、自然体で世の中の潮流を的確に掴む多彩な作品だ。
 高校時代からデザインの勉強をしていた山本さん。実家の窯元に入りうつわ作りに向き合うとき「周りと同じことをしたくない」という強い気持ちがあった。自分だけのスタイルを模索する姿勢は、この時から今まで変わっていない。当時は有田焼といえば、繊細で美しい模様を際立たせたものが一般的だったそう。しかし山本さんはあえて、エジプトの壁画をモチーフにした独創的な絵柄のうつわを製作。これが見事に話題となり注目を集めたが、なんとあっという間に絵柄が他の窯に真似されてしまったそう。そこからすぐに、どうやったら自分だけのうつわを作り上げられるのか追求し始めた。試行錯誤は素材、フォルム、釉薬など細部にまで渡った。
 ある日、山歩きをしていた山本さんは、道端に落ちている石をヒントにうつわを作った。それが今も山本さんの代表作となている「ロックシリーズ」だ。単に角ばっているだけではなく、手にもった時の立体感や不規則性が生命力を感じさせる。「自然とか、その時の自分の気持ちとかをヒントにしています」。だからこそ、他の窯には真似のできない、まさにオンリーワンのうつわとなった。
 山本さんのギャラリーに並ぶうつわは、無骨で素朴なものもあれば、金銀に深く輝くもの、シンプルな絵柄が光るものなど、同じ職人が手がけたとは思えないほどバリエーションが豊富だ。新しい挑戦をするときのワクワク感。うつわに携わって30年以上になる山本さんは今なおその気持ちを追い求めながら、自分の進む道をしっかりと見定めて進んでいく。

Editing Data

・基本情報
佐賀県武雄市山内町大字宮野1947
0954-45-3290
8:00~17:00
平日不定休
Pあり

 

・取材メモ
取材日…9/29(金)
天候…晴れ
取材時間…50分
来店回数…1回目

靴を脱いで薄暗い店内に入った瞬間から、非日常の特別なひと時は始まっている。

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