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印象に残ったのは、なんだかこちらも明るい気持ちになるようなとびっきりの笑顔

Community Cafe nijimaru

Bar 蔵・時時任紫郎さん

靴を脱いで薄暗い店内に入った瞬間から、非日常の特別なひと時は始まっている。けれど、余計な気構えは全く必要なし。きてくれた人が、自然体で心まで満足してもらえるように。そんなマスター・時任紫郎さんの工夫ともてなしが、目の前の一杯とともに記憶に残り、いつしかこの場所が自分にとって特別ないきつけになるはずだ。

 これまでホテルなどで10年以上バーテンダーとして経験を積んできた時任さん。少しでも寛いでもらいたいという気持ちから、自らのお店は木目を活かした和テイストに。洋酒のビンは障子でさりげなく隠して、控えめの照明が独特のやわらかな空間を演出する。メニューはバリエーション豊富なカクテルが中心。中でも、裏メニューだったのがいつしか評判となった「アイリッシュコーヒー」が人気メニュー。一口飲むと、ウイスキーの香りはあくまで上品に抜けていき、後からコーヒーの香りと苦味、上にのった生クリームのほのかな甘さが全て混ざり合い、まるで上質な大人のデザートのようなおいしさが口に広がる。一度味わうと気に入って、足を運ぶ度に頼むリピーターも多いそう。「自分なりに試行錯誤して、定着してきたのはうれしいですね」と笑顔を見せるが、カクテルの味を確立させるには、とても地道で繊細な努力が必要となる。

 「混ぜるお酒の分量にもちろんセオリーがあるんですが、そこをほんの少しずつ調整して、自分なりの味を目指していくんです。あとは仮に同じ分量でも、混ぜ方や氷の溶け方によっても微妙に味が変わるんですよ。もう、納得するまでとにかく繰り返しですよね。アイリッシュコーヒーも徐々に定着してきましたが、ここまでくるのにお店を初めて10年以上かかっているわけですから」。地道な試行錯誤に向き合う情熱の原点は、自分のバーにきてくれた人を満足させたいという気持ちだ。「そのためには、こっちで間違いなくおいしいお酒を用意するか、もしくは向こうのリクエストにきちんと応えることですね。ご希望があれば遠慮なく言ってくださっていいんです。その方の好み通りにちゃんと作りますから。それが、バーテンダーでしょう」。自ら選んだ仕事への誇りと、日々の積み重ねに裏付けられた技術。それを見せびらかす訳でもなく、あくまで時任さん自身が自然体で、またとない夜のひと時を楽しんでいる。お酒が進めば心も緩やかになり、会話も自然と弾むもの。カウンターをはさんで行う心地よい気持ちの交流が、大切にしたい自分だけの夜のひと時を残してくれる。

Editing Data

・基本情報
長崎市住吉町7-7
095-842-3210
20:00~翌5:00
15席
Pなし
喫煙可

 

・取材メモ
取材日…10/12(金)
天候…晴れ
取材時間…90分
来店回数…3回目

自分の気持ちに、正直でいること。

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