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頑固に黙々と、己の道を突き進む。うつわ職人ときいてイメージするのは、

宝寿窯

菓匠 佐藤饅頭栗饅頭

秋の味覚といえばやっぱり栗。モンブランや栗饅頭といった定番モノもいいけれど、たまにはほっこりやわらかな「栗大福」なんていかがだろう。中に入っているのはイチゴではなく栗の甘露煮。一口食べると、秋らしく濃淡の美しい、それでいて確かに感じられる一期一会のおいしさが感じられる。
 長崎市目覚町にひっそりとお店を構える〈佐藤饅頭〉。長年、和菓子の道で実直に腕を磨いてきた店主・佐藤健一さんが、昔ながらの手づくりを守り続けながら営んでいる。秋口ごろに並ぶ栗大福も、もちろん全て手作りだ。栗本来の甘さを引き出した甘露煮や、絶妙な厚みとやわらかさの求肥も素晴らしいが、甘さのバランスを整えるきめ細かな白餡がすこぶるいい。なんだか、佐藤さんのまっすぐな和菓子への向き合い方も伝わってくるようだ。
 お店の餡は、すべて工房で製餡した自家製のもの。水につけた豆の選別から煮炊きまで行い、出来上がるまでに3日かかる。そして仕上げの前に饅頭や最中、大福など、和菓子に合わせて最適な甘さに調整しているそう。地道で根気のいる下準備だが「職人だった親父が、額に汗かきながら豆を炊く姿を見て育ってますから。こだわりというより当たり前って感じかな」と笑う佐藤さん。和菓子職人の世界に入ってもう40年を超えるそうだが、今でも楽しそうに毎日和菓子を作っている。
 栗大福の白餡は、控え目でありつつ印象に残る甘さだ。栗の甘露煮の甘さを穏やかに引き立てつつも、単なる脇役だけでは終わらない魅力がある。栗大福は、モンブランや栗饅頭のように全面的に栗が主張されている訳ではない。しかしそのさりげなさの中に、移ろいゆく秋の趣が凝縮されている。一つ食べ終わると、自然と次の二つ目に手が伸びていた。

Editing Data

・基本情報
長崎市目覚町11-18
095-846-6661
10:00~19:00
不定休
Pなし

 

・取材メモ
取材日…10/26(木)
天候…晴れ
取材時間…20分
来店回数…8回目

実に、堅実で実直な人だといつも感じる。

SHADY

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