Text

あまり考えずに日替わり定食を選んで黙々と食べながら、ずっと気になっていた

マンゼ・マンゼ

点心屋台くまや担々麺

「これは全然辛くないですよ。大丈夫」。かつてその言葉に騙されて、大汗をかきながら水を求めて何度苦しんだことか。自分は辛いモノが苦手なのではないか。そう薄々気づいていながら、なぜか定期的に辛いグルメに手を伸ばしては後悔するのを繰り返していた。そんな中でも、担々麺はまず選ばない。以前、パーキングエリアで頼んだ一杯があまりに辛く、その後の運転で冷や汗をかいたことが理由だった。そんな自分がなぜ、目の前の坦々麺に期待を膨らませているのか。その理由は(空腹だったことに加えて)、「辛くないから大丈夫ですよ」といういつものセリフで人の良さそうな店主から声をかけられ、そして“香港式担々麺”というきき慣れない言葉に、これはいけるという期待感を膨らませたからだ。
 スープの色はいかにもな赤色、ではなく濃い茶色に近い感じ。刺激的なツンとした香りではなく、ゴマのやわらかな風味が特徴的だ。早速この時点で警戒心も薄れる。まず一口。食べると、その濃厚さにおやっと気づき、やわらかな旨みが口のなかに広がっていく。「ピーナッツバターを入れるのが香港式の担々麺なんです。香ばしさと、あとピーナッツの食感も面白いでしょ」と爽やかな笑みをこぼす店主・前川さん。確かにイメージした担々麺の味と異なる、もっとコクがあって深みのあるおいしさだ。食べ応えのある中太のストレート麺も、スープが絡んで一段と存在感が増す。そして自家製の肉味噌も、全体の味に強烈なインパクトを加えていた。
 これは間違いなくおいしい。味・食感ともに、肉味噌をとくごとに少しずつ変化が感じられて、ズズズッと飽きずに食べ進めてあっという間に完食。この香港式坦々麺ともっと早く出会っていれば、担々麺への苦手意識も変わっていたのかな。そんな風にぼんやり考えてしまうほど、その味わいの虜になっていた。

Editing Data

・基本情報
東彼杵郡波佐見町折瀬郷1911-3-A
0956-37-6677
12:00~15:00(os14:30)/17:30~22:00(os21:30)
火曜休、第一月曜
22席
Pあり
喫煙可

 

・取材メモ
取材日…8/30(水)
天候…晴れ
取材時間…1時間10分
来店回数…1回目

靴を脱いで薄暗い店内に入った瞬間から、非日常の特別なひと時は始まっている。

Bar 蔵・時

PAGE TOP